老舗製造業のIT基盤を「再構築」する経営者の決断。現場と経営が一体となったDXの舞台裏

DXコンサルタントとして伴走させていただいている、全国シェア80%を誇る老舗製造業様。
今回の定期訪問(12月15・16日)は、これまでの「アプリで効率化する」というフェーズを超え、会社の歴史に刻まれる「ITインフラの根底からの再構築」へと大きく舵を切る転換点となりました。

1. 現場の知恵を結集した「神」レイアウトの確定

まず着手したのは、デッドライン目前の新工場における「棚レイアウト」の最終承認です。
現場の担当課長が作成した図面には、コンサルティングを通じて磨き上げた「効率化の極み」が凝縮されていました。

  • 「2週間の法則」による在庫スリム化: 全在庫を抱えず、2週間分に厳選した部材のみを新工場に配置。余剰分は旧工場に切り分ける「勇気ある選別」を仕組み化しました。
  • 動線分析に基づく配置: 人間の動きに合わせ、ピッキングしやすい下段を「作業用」、上段を「ストック用」に固定。
  • 微小部品の「住所不定」をゼロに: 重量ラックにスチール棚を組み込むビルトイン構造を採用し、ボルト一つに至るまで定位置を確定。頻度の高い部品は作業机に直置きするなど、1歩も歩かせない徹底した効率化を実現しています。

2. 物理とデジタルを同期させる「究極のピッキングアプリ」

物理的なレイアウトが決まれば、次は「デジタルの住所」の構築です。
kintoneを活用し、複雑な倉庫構造を直感的に操作できる仕組みを整えました。

  • サブ棚番の概念を導入: 重量ラックという大住所の中に、細かい部品ボックスを特定する「サブ棚番」を新設。
  • 1部品に対し10箇所のロケーション登録: ピッキング用とストック用、計10箇所の住所登録を可能にし、在庫の見える化を推進。
  • データの鮮度管理: 翌日のミスを防ぐため、当日分のピッキングデータは完了後に全削除。常に「最新のリスト」だけが現場に並ぶ運用を提案しました。

3. 社長が下した「破壊と創造」の経営決断

後半戦では、議論は現場の改善から「会社全体のITインフラの未来」へと発展。
現状の課題(kintoneのコスト増、アプリの乱立、既存システムとの二重管理)を直視した社長から、衝撃的な言葉が飛び出しました。

「今のままでは限界だ。販売管理と生産管理を切り分け、一から再構築してほしい。必要なら、今のkintoneを完全にやめても構わない」

これは、過去の仕組みに固執せず、未来のためにリセットを選ぶ経営者の「強烈な覚悟」です。
コンサルタントとしての提案をすべて受け止めた上で、全幅の信頼を寄せていただいた瞬間でした。

4. 生成AI(Gemini/NotebookLM)が拓く新たな可能性

さらに、今回の訪問では最新の生成AIデモを実施。
年末調整の手引きを一瞬で要約し、必要書類をリストアップする実演に、経営層からは驚きの声が上がりました。
この「AIの衝撃」が決定打となり、プロジェクトは以下の4本柱で拡大することが決定しました。

  1. システム全面再構築プレゼン(来月実施)
  2. 全社員向けのAI・ITリテラシー教育
  3. 自社ホームページの全面改修
  4. 包括的な長期サポート契約への見直し

まとめ:DXは「信頼」という名のバトン

DXの本質はツール導入ではなく、現場と経営、そしてパートナーとの間に生まれる「信頼」にあります。
社長の大きな決断を正解にするため、私は「口だけ番長」を返上し、来年は「実行力の番長」として、この歴史的な再構築プロジェクトを完遂すべく爆走してまいります。

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